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ふんわりゆるい雰囲気の小説「かもめ食堂」群ようこ(著)

フィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」を営み始める日本人のサチエ。始めたばかりでお客は全然やってこない。おすすめメニューは「おにぎり」

そんなお店にやってきた最初のお客は日本大好き青年のトンミ君。そこへ、ひょんなことからフィンランドにやってきた日本人のミドリとマサコが絡んできて・・・。

どことなくほんわかした雰囲気で少しおかしな人々の物語。

テーマや要素

大体、以下のような要素が盛り込まれています。

  • 中年女性
  • 時には流されて生きてみる
  • 目的のない旅
  • たまには休憩してみる
  • 突拍子もない行動
  • 人との不思議な縁

著者:群ようこ

東京都出身
雑誌社に勤務している時にエッセイを書き始め、1984年に「午前零時の玄米パン」を刊行し、作家デビュー。

「鞄に本だけつめこんで」「無印おまじない物語」「パンとスープとネコ日和」などで、シリーズ化しているものもある。
小説も多数出版しているが、エッセイや旅行記も多い。

「かもめ食堂」登場人物

〇ハヤシサチエ

38歳。わざとらしい事や大げさな事を嫌う。父親は古武道の達人で、亡くなった母親は料理上手。
料理教室に通い、大手食品会社に転職する。外国で店をやろうと思いフィンランドにやってくる。

〇サエキミドリ

サチエが本屋で出会った日本人女性。いわゆるお嬢様。
21年間同じ職場に勤めていた。なりゆきでサチエの店で働くことになる。

〇シンドウマサコ

50歳。訳アリ。TVでフィンランドのニュースを見て面白そうとやってくる。荷物を無くし困っているところで知り合う。

〇トンミ・ヒルトネン

「かもめ食堂」の最初のお客さん。日本とガッチャマンが好きで、カタコトの日本語を話す。

〇リーサ

フィンランド人のおばさん。最初、表で毎日仏頂面をして「かもめ食堂」を睨んでいたのだが、店に入ってくる。「コスケンコルヴァ」を注文する。

〇ティモ

サチエの父親の道場に来ていた青年。サチエはティモを頼ってフィンランドにやってくる。

簡単なあらすじ

主人公のサチエは料理教室に通っていた時に外国で店をやろうと決意します。運の良いことに宝くじが当たり、そのお金を持ってフィンランドにやってきます。

そこで小さな食堂を営みます。看板メニューは「おにぎり」。お客さんは誰も来ませんが、毎日表ではフィンランド人たちがサチエを見て物珍しそうに噂しています。

最初のお客さんに日本大好きな男の子トンミがやってきます。そこからぽつりぽつりとお客がやってくるようになります。

それから、本屋でサチエは日本人のミドリと知り合います。成り行きでミドリはお店を手伝う事になります。

また荷物を無くしたと入ってきたマサコとも意気投合してしまい、マサコも「かもめ食堂」で働くことになります。

そして、とうとう「かもめ食堂」を毎日のように睨んでいたフィンランド人のリーサが店に入ってきます。

そんなちょっと訳アリのおかしな人たちの集まる食堂の話。

「かもめ食堂」に出てくる舞台

小説の舞台はフィンランドのヘルシンキというところです。私なんかはフィンランドと聞くと寒い国、ムーミン、メタル音楽というイメージでしょうか。

フィンランド

地理的には西はスウェーデン、北はノルウェー、東はロシアと国境を接しています。国土は森と湖で覆われていて自然が豊かです。

さらに「かもめ食堂」の舞台ヘルシンキはフィンランドの首都になります。おしゃれなショップやカフェが並ぶこじんまりした街です。

ちょっと検索して気づきました。オーロラやトナカイも有名でしたね。一年中サンタクロースに会えるなんて素敵ですね。

コスケンコルヴァ

フィンランド人のリーサが「かもめ食堂」にやってきていきなり注文した飲み物です。あまりお酒詳しくないので馴染みがないです。

フィンランドを代表するウォッカなんだそうです。寒い国の人ってお酒強そうですよね。ウォッカなんてストレートで飲めないわ。

「かもめ食堂」の由来

主人公のサチエはエテラ港で足元をあるく、コロコロのカモメを見かけます。そのトコトコと歩く様子を観察します。

カモメの太々しくひょっこりした感じが自分に似ていると感じ、そのまま「かもめ食堂」と名付けます。

サチエさんの前向きさ

ぽわっとしてる風ですがサチエさんはなかなか前向きな性格です。

一番は父親の元お弟子さんだったティモに手紙を書きます。しかも何年も経っているのに!
血縁関係ならともかく何年も疎遠になってしまった人に手紙を出すってなかなか出来ないと思います。これだけでも行動力があると感じました。

次に、ティモを頼ってフィンランドにやってきますが、ティモは入れ違いのように韓国に行ってしまいます。

普通は、誰かを頼ってきたのにその人が居なくなってしまっては心細さが先に立つと思うのです。

でも、サチエはティモさんが韓国に行く前にフィンランドに来れることが出来て、間に合って良かったあと考えます。
この辺り、かなり前向きじゃないですか?

「かもめ食堂」を読んだ感想

とにかく3人の女性がヘルシンキに来た経緯が面白いです。

サチエは一応、店をやるという目的で来てるのですが他の2人は本当にゆるーい感じでやってきます。しかもどことなく抜けてるんですよね。

そして3人ともそこそこの妙齢です。特にマサコさんはこれから転職ってなるとキツイ年齢ですね。

それでも焦るでもなく、ゆるゆると物語は進んでいきます。それがすごく心地よい。

個人的にはフィンランド人のリーサのキャラが一番好きです。おかしいと言えばおかしいのですが何ともたくましい女性ですね。

特別何か大きな事件が起こるわけではないので、印象には残りにくいかもしれないけれど、ほんわかした気分になれました。

時にはこの物語みたいに何の目的もなくフラッと旅に出てみるのもいいかもしれないですね。お金ないけど。

シナモンロールが食べたくなってきました。

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